プログラムノートを書いてみよう|発表会特別レッスン
- ねいろバイオリン教室
- 4 日前
- 読了時間: 7分

プログラムノートとは
クラシックの演奏会で、演奏される曲目や作曲家などについて解説された文章。
プログラムに記載されていることが多いです。
プログラムノートを読むと、
・曲が理解でき、聴きやすくなる
・音楽をより深く知ることができる
・ただ聴くだけでは味わえない気持ちや考えを得ることができる
プログラムノートを親子で書いてみましょう
演奏するソロ曲について、プログラムノートを書いてみましょう。
完成したプログラムノートは、影アナウンスの方にお願いして、発表会当日にご紹介していただきます。
プログラムノートを書くことで、
1.ただ何となく弾くだけの演奏よりも、
・演奏への意欲が沸き、集中力や忍耐力が上がる
・興味を持って練習、演奏できるようになる
・曲、作曲家、音楽をより好きになれる
・表現、楽曲解釈などの能力が育つ
・演奏に説得力が増す
2.音楽の知識を身につけられる
レッスンだけではなく、学校の音楽の授業や、生涯の趣味、教養としても役に立ちます。
3.舞台に立つものとして、
・観客への分かりやすい伝え方を考えられるようになる
・曲への理解や思いが、良い演奏の揺るぎない土台になる
・偉大な作曲家の存在が、演奏時の心の支えになる
・観客が曲に興味や理解を持ち、集中して聴いてくださる
・観客が、奏者の考えや想いを感じ取り、応援しながら聴いて下さる
【Step1】調べてみましょう
作曲家について
・作曲家が活躍した年代、国
・作曲家はどんな人か
曲について
~標題音楽(物語や情景などがある場合)~
・何をモチーフにした曲か
・伝えたい思いは何か
~絶対音楽(音楽そのものの美しさを追求した曲の場合)~
・楽曲構成や形式
【Step2】感じてみましょう
・ぜひ注目して聴いて欲しいフレーズ
?その理由は?
例えば、
→とても特徴的だから
→難しくて、苦労して練習したから
→きれいで好きになったメロディーだから
→作曲家が工夫して書いた箇所だから
【Step3】最後にひとこと
・発表会の演奏に向けての気持ち
・観客に伝えたいこと
など
【Step4】550文字前後にまとめましょう
完成した文章は、発表会当日ソロ演奏の直前に、影アナウンスの方が読み上げてくださいます。
~目的~
1.
観客に、より興味深く聴いて楽しんでもらうため
2.
演奏前に、生徒が心の準備を充分にできる時間を作るため
3.
演奏し終わった生徒が、片付けをして客席に戻り、次の生徒の演奏を聴けるようにするため
特に3に関して、
・サッと速く片付けて戻りなさい!
(→無理がある)
・時間がないから、次の生徒の演奏が終わってから戻ろう
(→一人分聴き逃してしまい、もったいない)
という、よくありがちな問題を解決することができます!
ぜひ、自分の前の発表生のためにも、たっぷりと書いてみてください。
【Step5】提出しましょう
開演前から終演まで、発表会全体の原稿が完成したら、ようやく影アナウンスの方にお渡しすることができます。
そのため、提出期限を守って、文章を先生に提出しましょう。
当日の影アナウンス
自身のソロ演奏の直前に読み上げていただきます。
まず、お教室で用意した文章
「プログラム●番、(生徒の名前)。
(作曲家名)作曲、(曲のタイトル)。」
その後に、生徒・保護者で用意したプログラムノート
(例文1)
「『ちょうちょう』は、ヨーロッパの古い民謡で、ドイツやスペインで歌われてきました。
日本でも童謡として、たくさんの人達に愛され、歌われています。
春になると、お花にちょうちょうがひらひらと飛んでくるのを思い出すような、可愛いメロディーが大好きです。
『きらきら星』は、メロディーがフランス、歌詞がイギリスで生まれた曲です。
変奏になっているので、元のメロディーがいろいろなリズムに変わっていくのが面白い曲です。
この変奏曲は、あや先生が生徒たちのレッスン用に編曲したものです。
私は、タンタタという、たんぽぽのリズムの変奏を弾くのが、とても楽しくて好きです。
どちらの曲も、最初は違う歌詞の曲として書かれましたが、後から『ちょうちょう』と『きらきら星』の歌詞がつけられました。
2曲とも、メロディーが綺麗に鳴らせるように演奏したいです。
これまで、左手の指がなかなか上手く動くようにならなくて、練習していて悲しくなってしまう日もありました。
弓を大きく動かすのが難しくて、上手に鳴らせなくて、落ち込んでしまった時もありました。
でも、今日の発表会でかっこよく演奏するために、たくさん頑張って練習してきました。
はじめての発表会で、ちょっぴりドキドキ緊張していますが、お気に入りのドレスを着て、がんばって演奏します。
最後まで聴いていてください。」
(例文2)
「この曲は、フィンランドの作曲家、ジャン・シベリウスが1903年に作曲した、彼にとって唯一の協奏曲です。
”極寒の北の空を、悠然と滑空する鷲のように”
どこか冷たく、幻想的に始まる第一楽章。
静けさの中に深い情感が宿る第二楽章。
フィンランドの民族音楽や舞曲を感じる力強い第三楽章。
北欧らしい静けさや、内面の深さを表現したこの作品。
本日は、第一楽章のみ演奏します。
協奏曲。コンチェルトとは、ソリストとオーケストラが共に奏でる音楽です。
今回はピアノ伴奏による演奏ですが、オーケストラの響きを意識しながら奏でます。
複雑なリズムや重音、急速なパッセージやハイポジションへの駆け上がりなど、
自然や感情を音楽にしたロマン派のヴァイオリン協奏曲の中でも、特に高い演奏技術と詩的表現が求められる作品です。
若い頃にヴァイオリニストを目指していたけれど、あがり症のために限界を感じ、夢を断念したシベリウス。
楽器の個性を知り尽くしている彼だからこそ、ヴァイオリンの魅力や想いにあふれたこの曲を書くことができたのだと思います。
演奏テクニック、音楽表現共に難しい部分が多く散りばめられているこの曲を発表することは、私にとって非常に大きな挑戦となります。
心を込めて、今の自分にできる精一杯の演奏をします。
どうぞ最後まで聴いていただけたら嬉しいです。」
→プログラムノートの紹介が終わったら、ステージへ出て演奏開始
書くためのアドバイス
観客の気持ち
観客の心を動かすプログラムノートが書けたら、非常に有意義な演奏会になるのではないでしょうか。
「へえ~、知らなかった!」
「そうなんだ!面白い」
聞いていて分かりやすい、最後まで飽きずに聞ける内容に仕上げられたら、面白そうですね。
共演者の気持ち
よいプログラムノートが書けたら、ピアノ伴奏の先生も「一緒に素敵な演奏に仕上げたい。」と感じてくださるでしょう。
影アナウンスの方も、丁寧に心を込めて、観客の心に届くように読み上げてくださるでしょう。
奏者や観客の気持ち次第で、演奏の質は大きく変化します。
みんなで音楽を楽しみましょう
「え~、調べるの面倒くさい~」
「全然弾けてないのに、調べてる時間なんてないよ!そんな暇あるなら練習しなきゃ!」
となり気味な楽曲理解。
弾けるようになるまでに時間がない中で、遠回りな作業で時間がもったいないように感じてしまいがちですが、
良い演奏をするために、充実したコンサートにするために、とても大切なことです。
「こんな風に弾きたい!」
と、意欲がわいて練習が捗ったり、発表会に積極的になれたり、曲の仕上がりの質が上がったりするのではないかなと思います。
そして、曲や作曲家について知っていくことは、とても面白いことですよ。
新たな発見も沢山あるでしょう。
もっと好きになる魅力に出会えるかもしれません。
ぜひ、親子で音楽の世界を味わい、楽しく語り合いながら、書きあげてみてください。
プログラムノートで、ソロ演奏がより特別なものとなりますように。
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